スイミングは夏休みだけの短期水泳教室だけでOK?上手になる?
スイミングは夏休みだけの短期水泳教室だけでOK?上手になる?
答え:OKではありません。進級はしますが上手にはなりません。
なぜ、OKでないのか?
なぜ、上手にならないのか?
じっくり解説していきますので、参考にして下さい。
スイミングの夏休み短期水泳教室とは?
スイミングスクールには短期水泳教室というものがあります。
スイミングスクールによって異なりますが、夏休み・冬休み・春休みに行われる2~6日間の連日(週1回/月の場合もあり)行われる水泳教室です。最近では、GWや連休に水泳教室を行うスイミングスクールもかなり増えてきています。
対象はスイミングスクールに在籍している子供と一般と呼ばれるスイミングスクールに通われていない子供です。(どちらか片方の場合あり)
スイミングスクールが短期水泳教室を実施する目的は、スイミングスクールに在籍している子供のレベルアップや進級ではなく、あくまでも普段スイミングスクールに通われていない一般の子供に参加して頂き、そこから本科生への入会者を増やすのがメインの目的です。
料金は実施される日数にもよりますが、一般的な4日間で2000~9000円です。(相場は4000~6000円)
2日で980~3780円。1日で0~2000円。などバリエーションが増えています。
また、申込期限内に申し込むと500~1500円程度の割引や兄弟割引で500~1500円程度安くなるキャンペーンを実施しているスイミングもあります。
短期水泳教室参加後に入会する場合は、入会金や事務手数料、年間登録料、年間保険料などお金がかかる分はほとんどの場合0円になります。
更に、スイミングの指定用品の指定水着や帽子、スクールバック、ワッペン、ゴーグル、ビート板、ヘルパーなど全てまたは一部プレゼントされます。
更に更に、月会費初月度無料になったり、短期水泳教室の料金がキャッシュバックされたり、商品券など品物をプレゼントするスイミングもあります。
詳細はお近くのスイミングスクールのホームページかチラシをご覧下さい。笑
この入会特典の内容を見れば分かると思いますが、スイミング側にとっては入会者を増やす入会キャンペーンの一環で短期水泳教室が行われているのです。
水泳教室は入会後のクラス編成をするための泳力認定の場だと思ってください。
スイミングコーチはプロなので、参加されたお子様は全力で上手になって頂けるように頑張っていますのでその辺はご安心ください。笑
短期水泳教室だけでOK!でない理由とは?
夏休みなどの短期水泳教室だけで水泳が上手になるか?
って事を知りたいのだと思いますが、冒頭でも答えた通りOK!ではありません。
普通に考えて頂いたら分かるのですが、短期水泳教室の3~5日間の実質合計3~5時間で水泳が上手になるのでしょうか?どう思いますか?
水泳は他のスポーツと違ってかなり特殊です。クロールをイメージして下さい。
まず「呼吸が自由にできない」「25m泳ぐのに30~60秒以上かかる」「水の中は支点がないのでバランスが悪い」「正しいキックを意識しながら、左右の腕をバラバラに動かして、次の呼吸に備えて息を吐き続けて、正しいタイミングで呼吸をする」
一度に行わないといけない事がたくさんあります。
初めてクロールに挑戦する子供はこれらの事を習得しなければいけません。
しかし、スイミングスクールにはそれらの事を習得できるように考え抜かれたカリキュラムがあり、経験豊富なスイミングコーチがいるのです!
でもね。正直コーチ側からすると3~5時間で泳ぎを覚えさせるのって結構難しいのです。
私のプロフィール。水泳指導歴20年で水慣れクラス~選手コースの指導。施設責任者でヘッドコーチ。進級率は95%。全国ジュニアオリンピックカップに子供を毎年出場させており、5度優勝(1位)させています。
短期水泳教室に参加するお子様のほとんどを進級基準と照らし合わせて合格レベルまで成長させています。
全国すべてのスイミングスクールの短期水泳教室のクラスを担当するコーチが全員私のような経験豊富なコーチではないのです。
正直な話、短期水泳教室に参加したお子様に「合格」と伝えていますが、私自身の満足度や達成度は20~30%程度です。
一般の子供が25mクロールを泳いだ場合、クロールに見える泳ぎで一生懸命泳いで、完泳した後は呼吸が乱れまくって、水も多少飲んで、キックで足はパンパン。とても「もう1回泳いで」と言えない状態です。
クロールに見える泳ぎで25m泳げたら合格です。
スイミングに通っている子供(5歳)が初めて25mクロールを泳いだ場合、進級基準に記載されている細かいフォームを意識しながら泳ぎます。当然25mは完泳します。呼吸はすぐ落ち着く程度で「もう1回泳いで」と言えば泳げる体力。泳ごうと思えば50m完泳できるレベルです。
25m泳げて当然です。クロールの正しいフォームが習得出来て合格です。
水泳のレベルが全然違うのです!
しかし、満足度や達成感は人によって違う!
スイミングのコーチとしては、「もっとキレイなフォームで楽に25mクロールを泳いでほしい」と思っていますし、本科生の本来の進級基準もそれに準じます。
それを達成できて合格する事によりコーチも本科生の子供も満足し達成感を感じます。
しかし、一般の子供や保護者の方は違います。「クロールで5mしか泳げなかったのに3~5日間で25m完泳できた!」と大きな満足度と達成感です。感動ものです。泣
同じ「クロール25m泳げた!」でも実際の中身は全然違います。
コーチと本科生の子供と本科生の保護者と一般の子供と一般の保護者。
水泳に対する思いや価値観や目的、満足度はそれぞれ異なります。
コーチや本科生の子供や保護者からすると、確かに上手にはなりましたがゴールではありません。しかし、一般の子供や保護者からすると上手になってゴールした事になっています。
「そこまで求めていない!」と言われればそれまでですが…。
コーチ側の意見は、「スイミングは夏休みなどの短期水泳教室だけでOK?」と聞かれれば「OK!ではありません」と答えるしかありません。
※会員数や運営の事を抜いて、純粋に水泳の事を考えて答えています。
夏休みなどの短期水泳教室だけでOK!の場合もある
「クロール25m」を例にして解説してきましたが、夏休みなどの短期水泳教室だけでOK!の場合もあります。
- 水が怖い → 水が怖くなくなった
- 顔を水に付けれない → 顔を水に付けれるようになった
- 水に潜れない → 水に潜れるようになった
- 立ち飛び込みが怖い → 立ち飛び込みが出来るようになった
- プールが深くて怖い → プールの深さが気にならなくなった
- 浮くのが怖い → アームヘルパーと腰ヘルパーをつけて1人で浮けるようになった
- 伏し浮きが怖い → 補助があれば伏し浮きが出来るようになった
- 背浮きが怖い → 補助があれば背浮きが出来るようになった
- シャワーが嫌だ! → シャワーを浴びれるようになった
- ママと離れるのが嫌だ! → あっさりママと離れてママ寂しい泣
- プールが怖くてその場から動けない → プールの中を動き回れるようになった
- 鼻から息が吐けない → 鼻をかめるようになった笑
- バタ足がその場から全然進まない → バタ足が前に進むようになった
早ければ初日に達成できますし、4~5日連続でレッスンすればほとんどのお子様はこれらの事を出来るようになります。
水慣れクラス(級)のレッスン内容、進級基準になります。
普段子供と過ごしている親でも難しいですし、子供の指導に慣れている幼稚園の先生でも難しいです。
しかし、我々は子供への水泳の指導のプロです!経験値は保護者の方や他業種の方とは全然違います。
プールや水で遊ぶ楽しさを教える水泳の導入レベルや子供の小さな出来た!からの大きな自信へとつなげるのはスイミングコーチの得意分野です。
夏休みなどの短期水泳教室だけでもOK!なので是非参加して、子供にプールや水と触れ合う楽しさを教えてあげて下さいね。
短期水泳教室で絶対に求めてはいけない事!
高いお金を払ってまで短期水泳教室に求めても無駄になる事があります。
- 平泳ぎの習得
- バタフライの習得
- 個人メドレーの習得
- 50m以上完泳
- クイックターン(クロールのターン)
- 飛び込み
- タイムを縮める
正直お金の無駄だと思います。
5日間連続でも上記の事を習得するのは難しいです。でもたまに習得できる子供もいます。それは”才能”です。実は水泳の才能があって5日間毎日練習する事によって才能が開花したのでしょう。
でも、習得しても一時的です。泳がなければ開花した才能もつぼみに戻ってしまいます。
来年の夏になったら、泳いでみて下さい。「あれ?」ってなります。
水泳は他のスポーツと比べて特殊なんです。
5歳の子供と大人。25mのかけっこしたらどちらが速いでしょうか?
5歳の子供にかけっこで負ける大人はまずいません。
5歳の子供と大人。25mクロールで競争したらどちらが速いでしょうか?
5歳の子供に負ける大人は意外と多いですよ。
選手や育成コースの小学2年生の子供は多ければ1時間に4000mぐらいの練習をこなしています。2時間で8000mです。
体の大きさや力や体力が圧倒的に勝る大人が小さい子供に圧倒的に負けるスポーツってそんなにありません。
水泳は他のスポーツと比べて特殊なんです。
水の中で泳ぐというのは普段の生活にはない特別な環境です。
特別な環境下で自由に息が出来なくて、手も足も同時に動かして全身を動かす水泳というスポーツは短期間で簡単に習得できるものではありません。
楽にキレイに上手に美しく速く泳ぐためには、それなりの練習と経験と期間が必要です。
例え高い授業料を払ったとしても短期水泳教室に大きな期待をしないで下さい。
週1回のお子様でさえ、月4回、年間48回プールで練習をしているのです。
年1回夏休みなどの短期水泳教室だけで5日間プールで練習をしても「48時間vs5時間」レベルの差が分かると思います。
とりあえず、泳げた!という事で進級はしますが、上手にはなりません。
まとめ&編集後記
学校の休みの期間にスイミングで行われる2~6日間の水泳教室です。
主に普段スイミングに通っていない子供を対象に行われており、料金の相場は4000~6000円です。
短期水泳教室自体にも様々な割引キャンペーンがあり、短期水泳教室参加後に入会する場合は、入会金や事務手数料など本来必要なお金が0円になる場合が多いです。
更に、スイミングの指定用品がプレゼントされたり、初月度の月会費無料や短期水泳教室の料金がキャッシュバックされたりと、入会を考えている場合には恐ろしいほどお得なキャンペーンとなっております。笑
スイミングスクールごとにキャンペーン内容は違いますので確認してください。
この入会特典の内容を見れば分かると思いますが、スイミング側にとっては入会者を増やす入会キャンペーンの一環で短期水泳教室が行われているのです。
水泳教室は入会後のクラス編成をするための泳力認定の場だと思ってください。
本来は、3~5日の短期間で泳ぎを習得すること自体難しいのです。
同じクロール25mでも、本科生は進級基準に沿った正しいフォームを意識して25mを完泳します。25mを完泳する事が目標ではなく正しいフォームが目標なのです。
一般の子供の場合は、泳ぎはクロールに見えればいいのです。子供も保護者も目標は25mクロールの完泳です。クロールのフォームよりも完泳出来た事に感動と達成感を持つのです。
水泳のレベルが全然違うのです!
スイミングのコーチとしては「もっとキレイなフォームで楽に25mクロールを泳いでほしい」と思っています。
本科生の子供はそれを達成して合格する事により満足し達成感を感じます。
一般の子供と保護者は「泳げなかったクロールで25m完泳出来た!」という事に大きな満足と達成感を感じます。
同じ「クロール25m泳げた!」でも中身は全然違います。
スイミングコーチからすると「スイミングは夏休みなどの短期水泳教室だけでOK?」と聞かれれば「OK!ではありません」と答えるしかありません。
- 水が怖い → 水が怖くなくなった
- 顔を水に付けれない → 顔を水に付けれるようになった
- 水に潜れない → 水に潜れるようになった
- 立ち飛び込みが怖い → 立ち飛び込みが出来るようになった
- プールが深くて怖い → プールの深さが気にならなくなった
- 浮くのが怖い → アームヘルパーと腰ヘルパーをつけて1人で浮けるようになった
- 伏し浮きが怖い → 補助があれば伏し浮きが出来るようになった
- 背浮きが怖い → 補助があれば背浮きが出来るようになった
- シャワーが嫌だ! → シャワーを浴びれるようになった
- ママと離れるのが嫌だ! → あっさりママと離れてママ寂しい泣
- プールが怖くてその場から動けない → プールの中を動き回れるようになった
- 鼻から息が吐けない → 鼻をかめるようになった笑
- バタ足がその場から全然進まない → バタ足が前に進むようになった
プールや水で遊ぶ楽しさを教える水泳の導入レベルや子供の小さな出来た!から大きな自信へとつなげるのはプロのスイミングコーチの得意分野です。
上の事柄に当てはまる場合は、短期水泳教室だけでもOK!なので是非参加して、子供にプールや水と触れ合う楽しさを覚えさせてあげて下さいね。
- 平泳ぎの習得
- バタフライの習得
- 個人メドレーの習得
- 50m以上完泳
- クイックターン(クロールのターン)
- 飛び込み
- タイムを縮める
正直お金の無駄だと思います。
5日間連続でも短期間で習得するのは難しいですし、習得できたとしても来年の夏になったら「あれ?」ってなります。
水の中で泳ぐというのは普段の生活にない特別な環境です。
その特別な環境下で自由に息が出来なくて、手も足も同時に動かして全身を動かす水泳というスポーツは短期間で簡単に習得できるものではありません。
とりあえず、泳げた!という事で進級はしますが、上手にはなりません。
スイミングは夏などの短期水泳教室だけでOK!でない理由を分かって頂けましたでしょうか?スイミングコーチ側からの意見がメインとなりましたが、せっかく水泳を覚えようと思って頂いたなら、せめてクロールと背泳ぎだけでも「楽にキレイに上手に美しく」泳げるようになって欲しいものです。
私はスイミングコーチであり水泳経験者でもあります。正直1人でも多くの人に水泳の楽しさや大切さを知って頂いて水泳を楽しんでほしいと思っています。
下記の事に1つでも賛同できる事があるなら是非お子様をスイミングに継続させて通わせて頂きたいと思います。
- 子供は泳げないよりも泳げた方が良い
- 子供には水の事故に遭って欲しくない
- 津波に遭遇した時に子供だけでも助かって欲しい
- 海で安全に思う存分遊んで欲しいと思う
- 孫が水の事故に遭った時、自分の子供が助けれる能力があった方が良いと思う
スポーツとしての水泳は必要ない!という考えは良く分かります。
しかし、水の事故から自分の身を守れたり、自分の大切な人を守れる、助ける事ができる能力を身に着けるためにスイミングに通うのはどうでしょうか?
毎年夏になると水の事故が多くなります。テレビでその報道を見ているととても胸が痛くなります。
スイミングに通っていたら絶対に助かるか?守れるか?と聞かれたら絶対ではありません。
私は日本赤十字社の水上安全法の資格を取得していますし、オーストラリアのライフセービングの資格も取得しています。水の中で人を助ける研修を何度もしましたが泳げる人間でも水の中で人を助けるというのはとても大変な事です。
泳げる人でも溺れる事もあります。でも生存率は全然違うと思います。
東日本大震災の津波の映像を娘と一緒に見ていました。娘は当時8歳でスイミングの選手コース在籍3年目でした。
娘に「もしこんな津波に遭ったらどうしたらいいと思う?」と聞きました。
娘の返答は「無理に泳がないで、水の流れに身を任せてスカーリングで体を浮かして呼吸だけは出来るようにする。こんな波じゃぁ泳ぐの無理だよ!」でした。
娘の回答は正解です。
更に付け足して「スカーリングで浮きながら周囲を見て大きな物にぶつからないようにしないとね。あとは浮くものを見つけてそれにしがみついて救助を待とうね」とアドバイスしました。
水泳を習っている子供は水の楽しさを知っています。同時に水の恐さも知っています。
だから、自分の身を守れるのです。水泳を習っていない子供は水の楽しさは知っていますが、水の恐さに対して理解がありません。
最近のスイミングスクールでは子供に水の安全に対する講習を定期的に行っている所が増えてきました。私のスイミングスクールでも毎年夏前に着衣水泳や水難事故に遭った場合を想定した実技講習を実施しています。
スイミングスクールは水泳を覚えるだけではありません。
水の事故から自分や自分の大切な人を守る術を身に着ける場所でもあります。
「スイミングは夏休みだけの短期水泳教室だけでOK?」
「OKではありません」
★★★★★