プール熱(咽頭結膜熱)とは?スイミングプールはどうしたらいい?
プール熱(咽頭結膜熱)について正しい知識を知っておきましょう。
夏に多く見られるプール熱。
昔はプールを介して感染が拡大した事から「プール熱」と呼ばれています。
スイミングスクールの運営者からすると大変迷惑な病名です。
風評被害で訴えたいぐらいです。誰に?笑
では、詳しく解説していきますね。
プール熱(咽頭結膜熱)とは?
プール熱は咽頭結膜熱とも呼ばれており、1年を通じてかかる病気ですが6月末ごろから感染者が増え始めて7月から8月の夏の感染者が一番多いようです。長ければ10月頃まで感染者が出るそうです。
アデノウイルスという名前のウイルスに感染する事によって発症する小児の急性ウイルス性感染症です。
潜伏期間は2日~14日間で症状が現れている期間は3~7日程度だそうです。
症状としては、38~39℃前後の高熱や咽頭炎による喉の痛み、目が充血し赤くなる結膜炎が主な症状です。また、子供によっては頭痛を訴えたり、食欲がなくなったり、腹痛や下痢を訴えたり全身の倦怠感をともなう場合があります。
基本的な症状は、発熱と咽頭痛と結膜炎ですが子供によっては全ての症状が出ない場合もあり、診断が難しい場合もあります。
更に、高熱が出るために熱性けいれんを起こす場合がありますので注意が必要です。
目の症状では、目が充血したり、涙が多くなったり、目やにが多くなったり、光がいつもよりも眩しく感じるたり、目のかゆみをうったえる場合があります。最初は、片目から症状が出る場合が多いですが最終的には両目に症状が現れます。
プール熱(咽頭結膜熱)の治療法
プール熱の専用の薬はなく、対症療法(★)で回復を図ります。
熱が出ますので水分補給はしっかりと行いましょう。また、目の炎症の結膜炎の症状が強い場合は、目薬が処方されますので用法を守り点眼するようにしましょう。
熱には解熱剤、喉の痛みにはうがい薬や鎮痛剤、炎症を抑える薬が処方される場合があります。
プール熱は何科に行ったら良い?
子供の場合はまず小児科が良いでしょう。
他には内科がお勧めです。目の症状が強い場合は眼科にも相談すると良いでしょう。
プール熱にかかった時の食事はどうしたらいい?
喉に痛みがある場合は、刺激のある飲み物は避けて少し冷たい飲み物が良いでしょう。
(牛乳や冷たいスープ、麦茶、スポーツドリンクなど)
食事は刺激のある食べ物は避けて、あまり噛む必要がないものが良いでしょう。
(プリン、ゼリー、アイスクリーム、豆腐、うどんなど)
大量の目やにはどうしたらいい?対処法
ぬるま湯で濡らしたティッシュペーパーなどで拭き取ってあげましょう。
一度使用したものは必ず捨てて下さい。タオルなど使用した場合、洗濯物の中でウイルスが移る場合がありますので、1回ごとに捨てる事が出来るもので拭き取りましょうね。
プール熱の簡単消毒方法!
アデノウイルスは熱に弱いので、タオルやまくらカバー、洗面器など感染者が触れたもので煮沸が可能な物やタオル類は煮沸消毒をするのも有効だと言われています。
煮沸の目安としては、100℃で約3秒間。約60℃のお湯で5分間が目安です。
プール熱の感染経路はどこから?
アデノウイルスを保有している人からの咳やくしゃみによる飛沫感染と感染者が触ったものから感染する接触感染が主です。(ドアノブや手すり、ボタンなど)接触感染の場合、タオルの共有による感染原因が一番多いと言われています。
子供がかかる場合は、主に保育園や幼稚園、小学校での感染が一番多いです。
これは、感染しても発熱、咽頭炎、結膜炎の症状が軽かったり一部の症状しか出なくて、プール熱(咽頭結膜熱)と判断や診断されない場合があるからです。
そこから、感染拡大につながる可能性が高いのです。
昔はプールでの感染者が多く、目の粘膜からウイルスが侵入する事による感染拡大し、一部地域で流行が起こったことからプール熱という名称になったそうです。
しかし、現在はスイミングスクールを運営しているプールでは必ず1時間に1回は、プールの残留塩素濃度を測定し保健所の検査を定期的にクリアしているのでスイミングスクールのプール内での感染はほとんど考えられません。
※しかし、スイミングスクール内でもプール以外の場所では感染する可能性は否定できません。後述する「プール熱に対するスイミングスクールの取り組み」を参照してください。
アデノウイルスは家庭内でも良く感染しますので、家族間でのタオルの共有や接触感染に注意が必要となります。
流行
プール熱の場合、学校や幼稚園や保育園はどうしたらいい?
プール熱は学校保健法で治癒後の登園や登校のタイミングが決まっております。
学校安全法で、第二種伝染病に位置付けられていて、治癒後2日後経過した後に登園・登校が可能となっておりますが、かかりつけの病院の医師の指示に従うようにしましょう。
出席停止
プール熱の場合、スイミングプールはいつから通えるの?
スイミングスクールごとに判断基準が違う場合がありますが、多くのスイミングスクールでは学校保健法の判断基準を参考にしています。
病院の医師にスイミングスクールに通っている事を伝えて、いつから通えるか医師の判断を仰いで下さい。
その際、治癒後も免疫力が下がっている場合があるので、ゴーグル使用方法やタオルの共有の注意点などを聞いておきましょう。
医師にプール熱を診断された時点で、出来るだけ早めにスイミングスクールへ連絡する事をお願い致します。
スイミングスクールのプール内でのプール熱の感染はまず考えられませんが、ロッカーや体操室、乾燥室などの施設やプール内で使用する共有練習道具(ビート板やヘルパーなど)からの感染拡大も十分考えられますので、消毒などで対応するスイミングスクールも多数あります。お子様がプール熱と診断された場合は、是非お知らせください。
子供がプール熱にかかったらどうしたら良い?
洗濯物
子供から大人
対処
食べ物
スイミングに連絡
ゴーグル
何科?
プール熱の予防方法や2次感染の予防方法は?
プール熱が治った後も、のど(咽頭)から約1週間~2週間、尿や便から約30日間ウイルスが排出されると言われています。感染力が強いのは最初の数日間で、日ごとに感染力は低下するそうです。
家族や周りの子供に2次感染を起こさないためにも対策が必要となります。
ハンカチやタオルの共有を避ける
使い捨てのティッシュを使用する
手洗いやうがいの徹底
出来れば洗濯物を別にする(最後)
出来ればお風呂を別にする(最後)
感染者が触ったものの消毒
密接な接触を避ける
プール熱に対するスイミングスクールの取り組み
プール熱は書籍やネット上で、「プールの水を介して感染する病気」と表現されている事が非常に多いですが、それはそれは昔の話。
現在プールを介してプール熱に感染する場合として考えられるのは、学校のプールやレジャー施設などの屋外のプールです。
屋内のプール、特にスイミングスクールを運営しているプールでは塩素管理を徹底(遊離残留塩素濃度が0.4mg/l以上、1.0mg/l以下)しております。保健所の検査も定期的にクリアしております。
屋外のプールは外気温が高いなどの理由によりプール内の塩素濃度が下がりやすいです。
また、屋内のプールに比べて利用人数が圧倒的に多いし日焼け止めクリームなどを使用するためプールの水が汚れやすいです。
子供がプール熱にかかった場合、スイミングスクールを感染源として疑う事は止めて頂きたいと思います。本当に。
塩素管理の帳票は★調べる★○年保管し、1時間ごとに測定し記入。
プールで使用している「通称:塩素」と呼ばれているものの正式名称は、次亜塩素酸ナトリウムです。この次亜塩素酸ナトリウムは消毒薬としても使われています。★調べる★
プール熱感染予防のおススメアイテム
手洗い
消毒
うがい
除菌
除菌(ウェットシート)
アデノウイルスは様々な消毒薬、消毒剤に対して比較的高い抵抗性を持つウイルスだと言われています。市販の安い消毒薬を使用するよりも、「消毒用エタノール」や「次亜塩素酸ナトリウム」がお勧めです。
本気で家庭内の除菌をお考えの場合は、「検討リスト」の中に入れてみては?
まとめ&編集後記
プール熱とは?
医学用語では、咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)といいます。
発熱・咽頭炎・眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症です。
アデノウイルスという微生物が接触感染によって人の体に寄生し、
のどの痛み・結膜炎・高熱を発します。
プールを介して感染し流行する事から「プール熱」と呼ばれています。
実際には、プールに入らなくても感染します。
感染から発症までの潜伏期間は5日~7日といわれています。
あなたの子供の通っているスイミングで「プール熱」が流行したら要注意!
基本的に、プール熱は不衛生のプールで感染が広がったのが名前の由来です。
すべてのプールで感染する病気でない事を知っておいて下さい。
基本的に、スイミングのプール内での感染はほとんどあり得ません。
塩素濃度があれば細菌は死滅すると言われています。
もし、感染するとしたらプール以外の場所です。
スイミングがするべき基本的対策として、シャワーの徹底。
水質管理の徹底。
タオルの共有をしない。
ビート板などの共有の用具はきちんと消毒をする。
これらをしっかりとしておけば、絶対にスイミング内でもプール熱の感染はありません。
(事実私のスイミング内での感染は0件です)
もし、あなたのスイミングでプール熱が流行した場合は責任者に
プール熱の対策に関して問い合わせると共に、保健所に連絡をしましょう。
管理の悪いスイミングではプール熱以外の病気の感染の可能性もあり得ます。
ちなみに、ビート板やヘルパー等をきちんと消毒しているスイミングは
見たことありませんか?共有の用具から感染する病気もあります。
当然、私のスイミングでも毎日実施しております。